2015/11/15

日本語教育中国語 : 学生さんたちにペアワークの説明をする

はじめに


台湾で日本語を教えている日本人のみなさん、こんにちは。
みなさんは教室活動、楽しく盛り上げていらっしゃいますか?
「中国語がうまくできなくて、学習者のみなさんにうまく指示が出せない」
という方もいるのではないでしょうか。

私もいろいろと苦労してきました。
試行錯誤の末、「うまくいってる」という活動形態を、
指示の中国語とともにご紹介したいと思います。

第一弾は、「ペアワーク」です。
ペアワークがうまくできるようになると、教室での活動の幅が広がりますよ。



ペアワークって何?


学習者が2人で、ある目的に向かって一緒に練習することです。
例えば、教科書の発音練習が必要な時、
「教師がモデル発音を学生に聞かせて復唱させる」
という活動が可能性として考えられます。

しかし、これを長時間繰り返すと、教師は疲れるし、学生も飽きてしまいます。

そこで、教師との練習、あるいは個別練習の後に、
ペアワークで学習者自身に発音練習をしてもらうことが考えられます。
一人が先生役になり、もう一人が先生役の発音を復唱する、という方法です。

以下、上の「学生A:日本語発音、学生B:復唱」
というタイプのペアワークを例に、解説します。
実施に当たっては、いろいろと注意事項がありますが、
先に手続きを見てみましょう。



ペアワークのやり方を中国語で説明する


それでは説明の手順をご紹介します。
黒板やホワイトボードに絵をかきながら、言葉で説明します。


「那麼,現在開始AさんBさん的練習。」
(じゃあこれからペアワークを始めます。)
「請決定誰當Aさん誰當Bさん。」
(誰がAさんで、誰がBさんをやるか決めてください。)










「Aさん、可以看課本。Bさん、不可以!」
(Aさんは教科書を見てください。Bさんは教科書を見ないでください。)



「Aさん、唸課本給Bさん聽!」
(Aさんは教科書を発音して、Bさんに聞かせます。)



「Bさん、模仿Aさん的發音!」
(BさんはAさんの真似をします。)

「Aさん、一定要checkBさん的發音ok不ok!」
(AさんはBさんの発音がOKかどうか、チェックしてください)

「練習的時間,大概2分鐘。請開始!」
(練習の時間は約2分です。それでは始め!)

... 2分ぐらい経って

「那麼,AさんBさんswitch! 」
(AさんとBさんが交代します。)
「Bさん、可以看課本。Aさん、不可以!」
(Bさんは教科書を見て、Aさんは見ないで。)
「練習的時間,大概2分鐘。請開始!」
(練習時間は約2分です。では始め!)

... 2分ぐらい経って

「時間到了!大家,請看前面!」
(時間です。みなさん、前を向いてください。)


以上です!


ポイント


1. ペアワークは様々な目的に応用できる


上の例のタイプのペアワークは、「反復練習」という目的でやっています。
語学の授業なのですから、反復練習が大切です。
それを学生同士でやろう、というのが狙いです。

しかし、ペアワークは本来「2人で何かする」ということだけなので、
他にもいろいろな目的で使用できます。例えば、
「文章の意味を理解するために2人で話し合う」のようなことも考えられます。
その他の応用例については、また別の機会に!


2. 学習者が確実にできる課題を与える


例えば、上のようなペアワークを課す場合には、
学習者が発音できる素材を使う必要があります。
でないと学習者が戸惑います。
 なので、教師自身が素材が適切かどうかを判断する必要があります。


3.ペアワークに入る前の準備

それともう一つ。
ペアワークに入る前の準備段階も結構大事です。
学習者の発音が安定する前に、日本語を発音させるタスクを課しても、
変な発音を反復練習するだけになってしまい、時間が無駄になってしまいます。

もしペアワークの課題として、学習者に日本語を発音させるのであれば、
ペアワークの前に、個別に課題の文(あるいは文章)を発音練習する時間を確保し、
さらに、その文なり文章の意味が理解できているかどうか、
これまたペアで確認させる必要があると思います。

課題となる文の意味が分かり、発音がある程度できるようになって、
その次の段階として反復練習で定着を図る、と言う時に、
上のような形態のペアワークを利用できます。



最後に

今回は、教室活動を立体的にするのに役立つペアワークの基本形と、
それを中国語でどのように学習者に指示するか、
ということをご紹介しました。

私自身は、ペアワークという練習形態の存在は本の知識として知ってはいたのですが、
それを台湾の現場でどのように実現すればよいのか、
随分試行錯誤を重ねました。

もし、もっと知りたいという方がいらっしゃったら、
また別のバリエーションについて、中国語でどのように指示を出せばよいのか、
ご紹介したいと思います。

それでは、今回はここまで!





2015/11/14

口頭テストとハイタッチ

中間テスト週が終わりました。

今学期、私は担当する授業を減らしていただいており、
テストをするクラスも少なかったので、
例年に比べて、ずいぶんと負担が軽く、楽でした!

それはそうと、今回、とある学科の口頭テストで、
「合格者とハイタッチをして健闘を称える」というのをやってみました。

ハイタッチというのは、あれです、こういうやつです。



このハイタッチは、
おそらく日本の小中学校の現場ではよくあるものだと思います。
カリスマ英語教師の田尻五郎先生(関西大学)の実践の紹介で、
中学生に英語を教える現場で田尻先生がハイタッチを取り入れていらっしゃいました。
そして、その実践をモデルにされている日本語教師、横溝紳一郎先生(西南女学院大学)が、
大学の留学生を対象にしたご自身の実践に取り入れていらっしゃいました。

ということで、私のオリジナルでは断じてなく、
先達の実践をパク…、もとい、再現したものです。

「ちょっと子供っぽいかなー?」と心配したのですが、
結構みんな喜んでいたと思います。

ただ、口頭試験もあまり簡単すぎるものでは、
学生さんたちも達成感がないでしょう。
ある程度難易度があり、合格するとうれしいぐらいのテストである必要があります。
当然、難しすぎて、ほとんどの学生が合格できないのも、あまり意味がないでしょう。
この辺の見極めが結構難しいのですが…

今回の小テストの内容

学生さんのレベルは、初級中盤(海外でN5ギリギリ合格)を想定しています。

40個足らずの、基本的な動詞の一覧表から、
7つの動詞をランダムに選び、
それらの動詞について、
「ます形を聞いて、普通体の4つの変化を間髪入れず発音する」
というテストをしました。

例えば、「行きます」という教師の発音を聞いて、
「行く、行かない、行った、行かなかった」
と答えます。これを7回実行します。

所要時間は、1人につき2分を想定していたのですが、
だいたい30秒から1分ちょいぐらいでみんな発音していました。
もちろん、言い間違えたところは減点です。
発音が不明瞭だった場合だけ、もう一度発音し直すことを許可しました。

7つの動詞全て正確に発音できれば合格です。

配点は、中間テスト100点満点のうちの20点としました。


ハイタッチをしてみて

ハイタッチをすることで、
「よくがんばりました。健闘を称えます」という気持ちが表現できればいいなと思いました。
思いがけず、学生さんたちが喜んでいたみたいなので、
取り入れてよかったと思いました。

これまでは、「おめでとう、合格です」という言葉掛けだけだったのですが、
それよりは気持ちが伝えられたのではないかと、
今は思っています。


最後に


私はもともと「いえ~い」とハイタッチをするようなキャラクターではなく、
こういう小技は気恥ずかしいというか、照れくさいと思うタイプです。
でも、今回そこを敢えて踏み出してみて、
これまで以上に学生に近づけたような気がしました。
ひと皮剥けたというか何というか…

今後、学生さんたちの雰囲気が変わるかどうか、
来週からまた観察していきたいと思います。