2011/01/04

[Doblog拾遺]中嶋洋一先生のこと(2007年6月27日投稿)

私は以前Doblogというブログサービスでお世話になっていました。
とっても使いやすいサービスで気に入っていたのですが、
そこがサービス停止になりました。2008年ごろでしたか?

でも、そのころ書いた文章というのは、
今読むとなかなかいいことが書いてあるのです。
ということで、Doblog時代の文章を、
少しずつ復活させていきたいと思います。

これは2007年6月27日投稿で、
ちょうどこのころ、「授業で歌、やりたいなー」と思っていたようです。
以下、原文ママです。

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私は自称「日本語教師」ですが、
英語教育の世界には本当に学ぶべきことが多く、
いつもいつも参考にさせてもらっています。

特に、日本の中学校や高校の英語科の先生の実践は、
ここ台湾の日本語の現場にかなり状況が似ていて、
授業について考える時、とてもよい参考になります。

# どちらも、目標言語が話されていない土地での「外国語教育」ですから。

そんなすばらしい実践家のお1人、中嶋洋一先生をご紹介します。

# 先生のプロフィールはこちら

私が持っている本は次の5冊です。

1) 英語のディベート授業30の技(1997年、明治図書)
2) 英語好きにする授業マネージメント30の技(1999年、明治図書)
3) 学習集団をエンパワーする30の技(2000年、明治図書)
4) だから英語は教育なんだ(共著、2002年、研究社)
5) 英語教育 ゆかいな仲間たちからの贈りもの(共著、2004年、日本文芸出版)

それから、これは近所の文藻外語学院の図書館所蔵のもの。
(文藻の図書館は一般市民でも身分証を提出すれば利用可能、
土日も営業しています)

6) “英語の歌”で英語好きにするハヤ技30(2000年、明治図書)

中嶋先生の実践のすばらしさを短かく表現するのは、
私には難しいことなのですが、
「緻密さ」と「遊び心」という2つのキーワードが浮かびます。

まず「緻密さ」ですが、
これは明確なゴールとそれに向けた長期展望に支えられています。
中嶋先生のゴールは中学3年生が卒業する前に、
「ハードカバーの卒業文集を英語で作成する」というものです。
中学生が、英語で詩を書くんです。詩ですよ!
しかも内容がとてもすばらしいもので、びっくりです。

# 詩は先生の本の中にも数点掲載されていますが、
15(フィフティーン)―中学生の英詩が教えてくれること かつて15歳だった全ての
大人たちへ
(ベネッセコーポレーション)という詩集も発売されています。

その大目標に向かって、何年生のいつまでに何をする、
という到達目標を置き、
音読、シャドウイングなどを含むありとあらゆる基礎練習と、
スモールトークやディベートなどの、
コミュニケーション練習をたっぷり積み重ねます。

「そんなにハードな授業じゃ生徒も大変だろうな」と思います。
確かに大変ではあるらしいのですが、でも、
そこを補って余りあるのが中嶋先生の「遊び心」です。
授業には歌の時間がある(年間60曲ほど歌うそうです)、
音読や小テストはゲーム感覚、
導入は怪談あり、手品ありの盛り沢山。
きっと生徒たちは目をキラキラ輝かせてるんでしょうね。

# 実際輝いてます。中嶋先生の実践を紹介したDVDで見ました。
中嶋洋一の『子どもが輝く英語の授業』(全6巻)
これの第5巻【基礎・基本編】は授業の中で如何に基礎練習を楽しくさせるか
についてのアイディアが、実際の授業風景の中で見ることができます。
特におすすめです。

先生はまた、ペア練習やグループ練習を多用されるのですが、
これがまた緻密で、何と学生にソシオ何とか(失念!)というアンケート調査を元に、
ペアを割り振るという念の入れよう。

そこまでやる?
っていうか、普通の公立の中学校の現場で、
やろうと思えば、そこまでできるんですね。
普段から「○○だから××ができない!」などと、
文句ばかり垂れている私は、
先生のご本を読んで、DVDを見て、
大いに反省し、そしてこんな授業をするぞと固く誓うのでした。

# でも長続きしないんですよ(泣笑)

英語教育に限らずですが、
日本の教育界には、
魅力的な実践をなさっている教諭が本当にたくさんいらっしゃって、
「実践家」として、いわゆる「研究者」とは異なる次元で、
様々な知見の蓄積をされています。

不祥事ばかりが目立って報道される日本の教育界ですが、
あまり日の当たらない所で、
生徒たちのために「ここまでやるのかー?」というほど、
力を尽くされている実践家たちの存在を、
私は絶対忘れませんからね。

そして私も、そんな実践家の1人でありたいと願いつつ。