2015/06/27

話にオチをつける文化

ゆうべ、私の勤務する台湾の大学の先生方の会食に参加してきました。
そろそろ学期が終わるので、私の所属するグループの先生が6人ほど集まって、
楽しくご飯を食べてきました。
みなさん仲がいいので、とても楽しそうにお話を交わしていらっしゃいました。

# 私は中国語が大してできないので、ただ話を聞いて相槌を打っているだけでした。


その会話を聞いていてちょっと思ったのですが、
台湾の人々の社交的な会話は、

話にオチをつける

ということが求められるのかもしれません。
オチというか、笑うところというのかもしれません。
例えばこんな感じです。


(以下は参加者の一人が「飛行機が怖い」という話) 
.... それでね、この人(隣に座っている人)がね、急に私の手をギュッてしてきたの、
それで私が「どうしたの」って尋ねたら、すっごい心配そうな顔で、
「ねえ、ちょっと手を握っていてもいい?」だって! ← ここがオチ  
(みんな爆笑) 
(上で「この人」と呼ばれた本人)もうあの時は、本当に怖くて、
離陸前も、もうずっとこうやって、← 手を合わせて拝む動作
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」ってずっと唱えていたんだから!
(みんなまた爆笑)


こんな風に、「みんな爆笑」というのを繰り返しながら会話が進行していきました。
(上の例では複数の話者で共同で話を盛り上げるというコントのような流れでした)

「話にオチを付ける」あるいは「ユーモラスな話をする」
というのは、大阪人の嗜みであるらしいのですが、
ひょっとしたら台湾の人々も、それに近いマナーがあるのかもしれません。

ただ、ユーモラスに話すという文化は、何も大阪に限ったことではありません。
例えば、私は今Toastmasters Clubという、
「英語でスピーチをする力を磨こう!」というクラブに参加しています。
そこで学ぶのは英語文化圏の話し方なのですが、
そこでも「ユーモラスに話す」ということは特に重視されていて、
全世界で(このクラブは世界規模の集団です)年に1回、
かならず「ユーモアスピーチコンテスト」というのを開催するほどです。

# 英語ではオチのことを「パンチライン punch-line」と言うそうです。

ですから、何かの機会におもしろい話をして「みんなを笑わせることを心がける」というのは、
別に大阪の専売というわけではなく、
さまざまな文化圏でみられる行動規範なのかもしれません。
台湾にもそうしたルールがあっても不思議ではありません。

あるいは、今回の会食にご参加の皆さんは、
全員英語圏に留学された経験のある方ばかりでした。
ですから、そうした英語圏の文化の影響を受けていて、
パンチラインの効いた楽しい会話になった可能性もあります。

この「台湾にも話にオチを付ける文化がある」という仮説を検証するためには、
もう少し複数事例に当たり、観察データが必要です。
でも、会話で人を笑わせるというのは、
相手にとても大きなプレゼントをしているのと同じです。
他の文化圏の人々を、しかも外国語で笑わせるというのは、
私にとっては本当に難しいことなのですが、 
これからチャレンジしていきたい課題であると、
みなさんの会話を思い出しながら思いました。



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