はじめに
台湾で日本語を教えている日本人のみなさん、こんにちは。
みなさんは教室活動、楽しく盛り上げていらっしゃいますか?
「中国語がうまくできなくて、学習者のみなさんにうまく指示が出せない」
という方もいるのではないでしょうか。
私もいろいろと苦労してきました。
試行錯誤の末、「うまくいってる」という活動形態を、
指示の中国語とともにご紹介したいと思います。
第一弾は、「ペアワーク」です。
ペアワークがうまくできるようになると、教室での活動の幅が広がりますよ。
ペアワークって何?
学習者が2人で、ある目的に向かって一緒に練習することです。
例えば、教科書の発音練習が必要な時、
「教師がモデル発音を学生に聞かせて復唱させる」
という活動が可能性として考えられます。
しかし、これを長時間繰り返すと、教師は疲れるし、学生も飽きてしまいます。
そこで、教師との練習、あるいは個別練習の後に、
ペアワークで学習者自身に発音練習をしてもらうことが考えられます。
一人が先生役になり、もう一人が先生役の発音を復唱する、という方法です。
以下、上の「学生A:日本語発音、学生B:復唱」
というタイプのペアワークを例に、解説します。
実施に当たっては、いろいろと注意事項がありますが、
先に手続きを見てみましょう。
ペアワークのやり方を中国語で説明する
それでは説明の手順をご紹介します。
黒板やホワイトボードに絵をかきながら、言葉で説明します。
「那麼,現在開始AさんBさん的練習。」
(じゃあこれからペアワークを始めます。)
「請決定誰當Aさん誰當Bさん。」
(誰がAさんで、誰がBさんをやるか決めてください。)
「Aさん、可以看課本。Bさん、不可以!」
(Aさんは教科書を見てください。Bさんは教科書を見ないでください。)
「Aさん、唸課本給Bさん聽!」
(Aさんは教科書を発音して、Bさんに聞かせます。)
「Bさん、模仿Aさん的發音!」
(BさんはAさんの真似をします。)
「Aさん、一定要checkBさん的發音ok不ok!」
(AさんはBさんの発音がOKかどうか、チェックしてください)
「練習的時間,大概2分鐘。請開始!」
(練習の時間は約2分です。それでは始め!)
... 2分ぐらい経って
「那麼,AさんBさんswitch! 」
(AさんとBさんが交代します。)
「Bさん、可以看課本。Aさん、不可以!」
(Bさんは教科書を見て、Aさんは見ないで。)
「練習的時間,大概2分鐘。請開始!」
(練習時間は約2分です。では始め!)
... 2分ぐらい経って
「時間到了!大家,請看前面!」
(時間です。みなさん、前を向いてください。)
以上です!
ポイント
1. ペアワークは様々な目的に応用できる
上の例のタイプのペアワークは、「反復練習」という目的でやっています。
語学の授業なのですから、反復練習が大切です。
それを学生同士でやろう、というのが狙いです。
しかし、ペアワークは本来「2人で何かする」ということだけなので、
他にもいろいろな目的で使用できます。例えば、
「文章の意味を理解するために2人で話し合う」のようなことも考えられます。
その他の応用例については、また別の機会に!
2. 学習者が確実にできる課題を与える
例えば、上のようなペアワークを課す場合には、
学習者が発音できる素材を使う必要があります。
でないと学習者が戸惑います。
なので、教師自身が素材が適切かどうかを判断する必要があります。
3.ペアワークに入る前の準備
それともう一つ。
ペアワークに入る前の準備段階も結構大事です。
学習者の発音が安定する前に、日本語を発音させるタスクを課しても、
変な発音を反復練習するだけになってしまい、時間が無駄になってしまいます。
もしペアワークの課題として、学習者に日本語を発音させるのであれば、
ペアワークの前に、個別に課題の文(あるいは文章)を発音練習する時間を確保し、
さらに、その文なり文章の意味が理解できているかどうか、
これまたペアで確認させる必要があると思います。
課題となる文の意味が分かり、発音がある程度できるようになって、
その次の段階として反復練習で定着を図る、と言う時に、
上のような形態のペアワークを利用できます。
最後に
今回は、教室活動を立体的にするのに役立つペアワークの基本形と、
それを中国語でどのように学習者に指示するか、
ということをご紹介しました。
私自身は、ペアワークという練習形態の存在は本の知識として知ってはいたのですが、
それを台湾の現場でどのように実現すればよいのか、
随分試行錯誤を重ねました。
もし、もっと知りたいという方がいらっしゃったら、
また別のバリエーションについて、中国語でどのように指示を出せばよいのか、
ご紹介したいと思います。
それでは、今回はここまで!